こんにちは、「イエカラ薬局」の松尾です!
「私はコレで会社をやめました」のフレーズでおなじみ禁煙パイポは昭和生まれの人なら誰でも知ってる禁煙グッズですよね。
放送の翌年には流行語大賞に選ばれるなどまさに一斉を風靡した禁煙パイポで、みなさん一度くらいはこれで禁煙にチャレンジされているのでは?というくらい有名なグッズですが、実は肝心の禁煙効果の方はというとニコチン依存症に対してはあまり効果的とは言えない部分も…。
パイポで真剣に禁煙に取り組もうと思っていた方はちょっとガッカリされたかもしれませんが、ご安心ください。なぜなら、日本ではすでに厚生労働省にその効果を認められるれっきとした禁煙のための新薬が処方されているからです。
禁煙パイポは禁煙グッズではない!?
パイポは、タバコを模したパイプのフィルター部分に香料が仕込まれていて、これを吸うことで口寂しさや喫煙したい衝動を紛らわせることができる、というグッズです。
別にニコチンが含まれているわけでもなければニコチンのはたらきを阻害する物質が入っているわけでもないので、禁煙パイポは本当に「タバコの代わりに吸える」というだけのもの。
実際、パイポのホームページを見ても禁煙パイポがどういった作用で喫煙を抑えられるのかと言ったことには一切触れられていませんし
Q. 禁煙効果はありますか?
A. 本製品は禁煙にかかわる治療器具ではございません。あくまでも香りを楽しむリラックスグッズですが、節煙や減煙に関してたくさんのお喜びの声を頂戴しております。
出典:マルマン|電子パイポ
と結構はっきり書いてあります。
全く禁煙の効果がないわけではない
しかし、口寂しさを紛らわすというのは実は禁煙するにあたって全く的外れというわけではありません。
というのも、タバコを辞められない理由は大きく分けて2つあり
・心理的な依存(口さみしい、クセになってる)
・身体的な依存(ニコチン依存症)
タバコに心理的に依存しているだけ、という人はパイポを使うことで普通に禁煙できる効果が期待できるからです。
…が、タバコを辞められない人の大半は身体的な依存(ニコチン依存症)が原因でタバコを吸い続けていることを考えると、禁煙パイポであっさり禁煙できる人の数はかなり少ないと言わざるを得ないでしょう。
実は、ニコチンは「使ったら地獄を見る」と言われる薬物の王様・ヘロインよりも依存性が高い物質なんです。
依存薬物 | 依存性 | 禁断性 | 耐性 | 切望感 | 陶酔性 |
---|---|---|---|---|---|
ニコチン | 6 | 4 | 5 | 3 | 2 |
ヘロイン | 5 | 5 | 6 | 5 | 5 |
コカイン | 4 | 3 | 3 | 6 | 4 |
アルコール | 3 | 6 | 4 | 4 | 6 |
カフェイン | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 |
大麻 | 1 | 1 | 1 | 2 | 3 |
そこまで依存性が高い薬物を断つとなると、禁煙パイポではいささか力不足感が否めませんし、そもそもパイポで口寂しさを紛らわす程度でみんなタバコが辞めれるならニコレットなどの薬が登場することもなかったはずですよね。コカインやヘロインと同じくタバコもまたドラッグで、これは薬物依存の問題なのです。
ちなみに、自分がニコチン依存症かどうかチェックするには電子パイポや電子カフェインに切り替えた時に禁断症状(離脱症状)がどのくらいあらわれるかで判断できます。
◆イライラする
◆集中できない
◆強烈な眠気を感じる
◆頭痛、めまい、吐き気を感じる
上記のような症状が耐え難いほど出てきて悶絶するようだと、身体的依存の可能性が高く禁煙パイポで禁煙するのはちょっと難しいかもしれませんね…。
しかし、禁煙パイポが発売された1984年当時は電車のホームや飛行機や映画館でさえも自由にタバコが吸えて、禁煙の「き」の字もなかった時代です。今でこそより禁煙に適した薬がたくさん登場しているだけで当時からすれば少なからず効果の見込める禁煙パイポが画期的な商品であったことは疑いようのない事実と言えるでしょう。
現在はニコチン依存症に効果のある薬がある!
ということで、ニコチン依存症にお悩みの方が多いのではないかと思いますが、技術の進歩というのは目覚ましいもので今ではなんと厚生労働省に禁煙・卒煙の効果を認められる薬というのも登場しているんです。
それが、バイアグラでおなじみの製薬会社ファイザーが販売する禁煙のための薬、チャンピックスです。
禁煙グッズのCMは
インパクトの強いCMが多いので
チャンピックスの名前を名前を知っている人は少ないかもしれませんが、ファイザーがやっている禁煙外来のCMはみなさん一度くらい見たことがあるのでは?
実はあれこそがファイザーがやっているチャンピックスのCMなのですが、いかんせん記憶に残りづらいというか…わかりづらいですよね。効果的な薬を作るのは得意でも効果的なCMを作るのは苦手なんでしょうか…?
チャンピックスの効果
チャンピックスが今までの薬と違うのは、薬に含まれる有効成分のバレニクリンがニコチンの作用そのものを直接ブロックしてくれるという点です。これまで禁煙といえば、我慢するかニコチンを段階的に少しずつ減らしていくかしかありませんでしたが、2008年になって始めてニコチンのはたらきそのものを阻害する薬が登場したんです。
ニコチンはタバコを吸って数秒で脳へと到達し、ドーパミンと呼ばれる脳内麻薬を強制的に分泌させる効果があります。これによって、快楽がクセになりタバコが辞められなくなってしまうんです。
しかし、ここで登場するのがバレニクリンでこの成分はニコチンにとても良く似た形をしているのでニコチンよりも先に脳にくっついて作用を妨害してくれるんです。
これだけだとドーパミンが足りなくなって「イライラする!タバコ吸いたい!」という禁断症状(離脱症状)に悶絶することになってしまいますが、バレニクリンは脳にくっつくとドーパミンをじわじわ分泌してくれる効果もあるので禁断症状も緩和されるというわけです。バレニクリンは一粒で二度美味しい、すごいやつなんです。
タバコを吸っても美味しくない(気持ち良くならない)ようになってくるとバレニクリンの効果が出始めたサインで、そうなると自然と禁煙・卒煙できるようになります。始めて吸ったタバコはむせるほど不味かったと思いますが、実はこれがタバコの本当の味なんですね。
チャンピックスで禁煙するなら…
チャンピックスは、禁煙外来をやっている病院へ行けば普通に処方してもらえる割と手に入りやすいお薬です。
しかし、もし「病院が遠い」「忙しいから通院は嫌だ」といった方の場合は、ネット通販でもチャンピックスが購入できます。薬局やドラッグストアでは販売していませんので、恥ずかしい方や多忙な方は選択肢の一つとして考えておくと良いでしょう。
【チャンピックススターターパック(champixstata)】
チャンピックス(CHAMPIX)はファイザー社が製造する禁煙のための飲み薬です。日本でも「すぐ禁煙」のキャッチフレーズで親しまれ、チャンティックスと呼ばれることもあります。このスターターパックはファイザー社製の正規品です。たばこを吸うと、脳にあるニコチン受容体にタバコのニコチンが結合し、ドパミンという快感を感じさせる物質を出します。
ただ、チャンピックスはあくまで禁煙・卒煙をサポートのための薬にすぎないので、最終的にはやはり吸わないという意思が一番大事になります。薬の効果がない…というよりかは、それほどまでにニコチン依存症が強いということですね。
禁煙・卒煙のコツ
そのため、禁煙・卒煙を達成するためには「あと1本を我慢する」心がとても大事になります。
チャンピックスは、飲み始めて7日までは普通にタバコを吸ってもOKで8日目から本格的な禁煙が始まります。クリニックでは治療が始まると8日目以降は絶対吸ってはダメ!と念押しされるところも多いですが、大事なのは最終的に完全禁煙に切り替えて卒煙することですから、多少日数が延びるくらいは問題ありません。
8日目以降タバコを吸ってはいけないというのは、あくまで定められた基本的な服用の方法ですからね。自分のペースで少しずつ減らしていけば良いでしょう。
ただし、8日目以降禁煙できなかった場合は、必ず少しずつ吸う本数を減らしていくようにして絶対に1日に吸うタバコの本数が増えることがないようにしましょう。「あと1本」は”1本お化け”なんて呼ばれ方もしていて、その1本が1箱になり、1カートンに…とどんどん進化していきます。
一度負けてしまうと歯止めが効かなくなるので、一番最初の1本お化けに負けないようにするのが禁煙成功の大事なポイントです!喫煙所のお付き合いがなかなか辞められない人は、今こそ禁煙パイポ(電子パイポ)に頼るのもありかもしれませんね。
ニコチン依存症は思った以上に手強い
しかし、チャンピックスを使っても頑張っても残念ながら禁煙が失敗してしまう人も中にはいます。
でも、これはニコチン依存症による仕方のないものですので、仮に失敗しても自分の意志の弱さを嘆く必要はありません。たまたまあなたが周りの人よりニコチン依存度が高かっただけの話なんです。
もう一度チャンピックスで禁煙チャレンジするも良し、さらなる効果をもつ次の新薬が登場するまで喫煙ライフを楽しむも良し、気楽な気持ちで考えるようにしましょう。
(Text:松尾和志)